この掲示板に、皆さんの有意義な情報を自由に書き込んでください。
- 2011年03月
- 2011年02月
- 2010年10月
- 2010年09月
- 2010年06月
- 2010年04月
- 2010年02月
- 2010年01月
- 2009年10月
- 2009年07月
- 2009年06月
- 2009年04月
- 2009年02月
- 2008年12月
- 2008年11月
- 2008年10月
- 2008年09月
- 2008年06月
- 2008年05月
- 2008年04月
- 2008年03月
- 2008年02月
- 2008年01月
- 2007年10月
- 2007年08月
- 2007年06月
- 2007年04月
- 2007年02月
- 2007年01月
- 2006年12月
- 2006年11月
- 2006年10月
- 2006年09月
- 2006年08月
- 2006年07月
- 2006年06月
- 2006年05月
- 2006年03月
- 2005年12月
- 2005年11月
- 2005年09月
- 2005年07月
- 2005年06月
- 2005年05月
- 2005年04月
- 2005年03月
- 2005年02月
- 2005年01月
- 2004年12月
- 2004年11月
- 2004年10月
- 2004年09月
- 2004年08月
- 2004年07月
- 2004年06月
- 2004年05月
昨日、ホテルチェーンのクライアントから、『実施しているすべてのリスティング広告をすぐに取りやめたい。』という連絡がありました。
なぜ今!?
とお思いでしょうが、この話は氷山の一角に過ぎず、今後この夏に向けて広告ができないクライアントがたくさん出てきます。
ACのCMはいつまで続くのでしょうか?
私は、夏までは続くのではないかと覚悟をしています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話を進める前に、最初にご理解をいただきたいのは、今回のエントリーは決して世の中に不安を与えるためではなく、『備えあれば憂いなし』の観点からお伝えするものなので、不快な方、意見が違う方はこの時点で離脱してください。
フィクションとして捉えていただければ幸甚です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は、優秀なアドマンは、危機管理のできる人であるべきだと思っています。
これから、世の中がどのように進むのか、こんな時期こそ最善の場合のコミュニケーションプラン、最悪の場合のコミュニケーションプラン、そして真ん中の王道をゆくコミュニケーションプランを描き、提案できるものこそが、クライアントの信頼を得ることができます。
そんな中、最悪のシナリオを考えてみると、今回の地震と津波の影響で被災した方々や企業の皆様については、時間が解決をしてくれるはずだと信じています。
皆前向きに頑張っているので、日本再生の日は遠くないと思っています。
しかし、福島原発の問題があるから、事が簡単に済みません。
29日の参議院予算委員会で、菅総理は、「福島原発の廃炉については、専門家の意見を聞いて決めるが、その可能性は高い。」と発言しています。
最悪のシナリオは、今後の電気の供給は、今のこの状態にしかならないということなのです。
仮に、別の方法で、電力の供給を図っても、この夏には間に合わないでしょう。
夏は、今の1.3倍の電気消費量になるそうです。
こういう状況が想定できた場合、アドマンは、どのような行動を取るべきなのでしょうか?
素早い情報収集が必要になってきます。
それができれば、CMを再開できる時期が見えてきます。
ボーっとしている場合ではありません。
まだACが続いているな。いつまで続くんだろう。。。
などと、何も考えないアドマンは、悪いけど見込みがないので転職した方が良いですよ。
たとえば、飲料・アルコールを担当している方にヒントです。
キリンさんやアサヒさんの被災状況をみると、キリンさんは仙台工場と取手工場が被災し、稼働不能になっています。
アサヒさんは、福島工場と茨城工場が同様です。
この状況で、両社の商品供給量はどれくらいになるのでしょう。
前年比でほぼ60%くらいになるはずです。
ここをまずヒヤリングできる人間関係にありますか?
私は、正直言って、正確な数字を把握しております。
但し、企業秘密なので、アバウトな数値に置き換えています。
次に、仮に60%の生産量で、夏場が来たらどうなりますか?
今までなら、工場フル稼働で何とかやりぬくかもしれません。
しかし、電気の供給量が今のように計画停電もある中で、追い付かなくて、たとえ工場が動く状態になっても、この夏はフル稼働は不可能でしょう。
また、別の観点から、
ビールやジュースは決してビール会社だけで作られているのではありません。
たとえば、ビールのラベルは、大日本印刷や凸版印刷が納品しています。アルミ缶や段ボールなども別々の会社から入ってきます。ペットボトルの材料も、それを成形する会社も、いろいろな工場が絡んでいます。
この中のひとつでも被災していれば、その材料を供給する工場の復旧に時間がかかり、その工場もまた、夏にはフル稼働できない電気供給環境が付きまといます。
こういう環境下になれば、売れる商品の供給は前年比60%から70%になってしまいます。
商品が店頭にないのに、広告をやるクライアントはありません。
だから、おのずから、広告予算は前年比6~70%になってしまいます。
また、商品特性から言いますと、飲料は自動販売機・コンビニ・スーパーなどがメインの販売チャネルです。
皆さんは、TVの広告やWebを見て、これをぜひ飲みたい!と決めて、その飲料を買いに行っていますか?
大手の飲料会社の半数は自動販売機で売れています。
全国に100万台以上を展開するコカコーラ、2位がSuntory40万台程度、3位KIRIN20万台程度(数量は推計)です。
これらは、広告をやってもあまり意味がありません。
自販機の中での選択になるからです。
ただし、コンビニやスーパー、自販機の他社連結などは、競合も存在します。
しかし、この時の皆さんの飲料選択は『高速チョイス』と言うべき、とても瞬間的に、感性で選ぶことが調査でわかっています。
その時に、「ソーシャルメディアマーケター美咲」に書いてあったように、「本格的な茶葉採用によるまろやかさ」というジャスミン茶の機能価値など届くわけもなく、ましてやソーシャルメディアのコミュニケーションコンセプトである「がんばる女子のリセット茶」なんてマスターベーションも良いところです。
この本については、あまりにもツッコミどころが多いので、ここではやめておきますが、この本を真に受けてソーシャルメディアを考えても、クライアントに笑われますよ。
飲料は、広告をどのようにすべきかは、上記購買行動を取るための対応策として、TVスポットでの認知強化とPOPでの現場訴求が一番なのです。
また、TVスポットをやる大きな理由はもう一つあります。
自販機に入れておくだけで本来は売れるわけですから、飲料メーカーは争って自販機の確保に走りました。
しかし、スーパーやコンビニでの販売も半数以上を占めているのですから、ここに置いてもらう必要があります。
そのためには、スーパーやコンビニのバイヤーに、「TVスポットをこの期間に3000GRP投下するので3列置いてほしい。」と棚取りをするのです。
残念ながら、今はまだ、Yahooのブランドパネルをどれくらい出すと言っても通用しません。
以上の環境から、予算の少ない商品はベンダー商品となり、広告をしないで自販機で売ることになります。
予算のかけられるお茶・コーヒーなどは主力ブランドをTVスポット中心で広告展開していきます。
今まで、『ちょっと予算があるので、ネットでの展開も考えてよ。』というオファーは、飲料に限って言えば、今後は減ってくるものと思います。
私は、以前からの持論ですが、飲料こそネットでのコミュニケーションは、プロダクトブランドではなく、コーポレートブランドを展開すべきだと考えています。
なぜなら、半数はベンダーで売れていることと、瞬間的に選ぶとき、「KIRINの水だから」とか「KIRINのジャスミン茶だから」というように、会社の品質の信頼性が高まれば、高速チョイスでは有利だからです。
ちょっと余談も増えてしまいましたが、飲料で生産が6~70%まで落ち込んだ場合、広告はテレビを中心に6~70%台の投下になり、あとの商品はベンダーで売るので広告はしない。
という流れを最悪のシナリオで描くことができました。
車・家電・食品など他の業種のクライアントも同様な状況であれば広告業界はさらにタフな1年になりそうです。
では、最後に、こんなシナリオの時に、アドマンは何をすれば良いのでしょうか。
まずは、会社としても、この環境を理解するために、各アドマンがクライアント情報を正確に調べ上げることが重要です。
広告会社は、クライアントの機密情報をたくさん掴んでいます。
私もADK時代に、新商品開発もKIRINさんと一緒にやっていたので、翌年の商品ラインナップも理解しておりましたし、何より自分が担当した新商品以外のものがいつ出るのかもスポット発注で事前に把握しています。
だからこそ、アドマンの一番大切なことは、守秘義務の順守なのです。
そんな関係ですから、この時期に、クライアントの被害状況や復興計画、予定していた新商品の発売状況の確認などを正確に行います。
これができれば、まず、ACはいつまで使うのかが見えてきます。
そして、天下の電通さんは、世界最大の広告会社としての人脈を使って、「経済産業省」「東電」「各メディア」などの復興計画や今後の事業計画などをヒアリングしているはずです。
漏れ聞くところによると、すでに、その特別チームが稼働し、4月以降9月までの半期を前年比60%にシュミレーションをしているという情報もあります。
おそらく、これだけいつまでもACが流れ続けているのは、クライアント側も商品供給の段取りで精一杯で、いつから出荷できるとか、具体的に見えないことが原因だと思います。
なので、今からでも遅くはありません。
まずは、クライアントの情報収集をしてみてください。
そして、こんな状況下ではどんな会社も数字は上がりにくいので、こんな時こそクライアントに信頼されるように、クライアントの役立つ情報をたくさん仕入れて、伝えてくることです。
これがやがて、強い信頼になり、好転した時にはたくさんのご褒美出稿が約束されていると思います。
そうならなかった時は、それは、自分の努力が足りなかったと思ってください。
他社のアドマンもあなた方以上に頑張っているはずですから。
以上、ご参考になれば幸甚です。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL: