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電通が平成23年第一四半期の業績で営業利益が前年比413%となったのは記憶に新しいですね。
その反面、博報堂DY・ADKは相変わらずの苦戦です。
私は、今後この状態がしばらく続くと予想します。
このままでは、電通がひとり勝ちを収めます。
私がADKに在籍していた2001年までは、電・博・ADKの企画力は拮抗していました。少なくとも、バブル後期の90年前半頃からマーケティング・クリエイティブの強化が叫ばれ、各代理店とも争うようにその人材確保に走りました。
その結果、2001年に1年間の電・博・ADKが絡む企画競合の勝率分析をしたところ、ほぼ3社が3割3分の勝率で並ぶ結果となりました。
この頃は、我々も電通が怖くなかった時代です。
しかし、メディアバイイングの強さはその当時でも電通には全くかないませんでした。
90年後半に私たちは長年の夢であった新聞の幹事代理店となることができました。
しかし、新聞は、昔から電通さんの牙城です。
九州と四国の県紙を獲得したのですが、新聞社自体がクライアントに、電通に戻してほしいとクレームを入れたりされました。
テレビについても、番組提供を提案して、実施決定に至ったのですが、その動きを察知され、月額4200万円で決めてもらったものを電通は「ウチなら3800万円で仕切ります。」と値段を指値し、泥沼になって3200万円にまで落ちてしまったりしました。
結果は、電通に持って行かれました。
オリンピックやワールドカップなどは、すべて電通でなければ売れません。
それに関連する特番や新聞企画などもすべてです。
いわゆる「買い切り」になってしまいます。
そういうメディアバイイングの強みを生かして、電通は、セントラルバイイングの提案に走りました。
「新聞全紙をウチに任せてくれたら、代理店マージンをここまで下げます。」
というやり方です。
それまでは、読売は博報堂・毎日はADKというように決まっていたものを1社に任せてしまうのです。
これには、クライアントはメリットを感じます。
こういうことがどんどん続いていき、ナショナルクライアントから、ローカルクライアント、中小企業にまでその戦略は落ちていくでしょう。
これからは、ますます電通のメディアバイイング戦略が有効に機能していくものと思います。
ただ、私が代理店にいた頃から、大なり小なり、いつもその恐怖と闘い、それなりに勝ち抜いてきました。
それは、どうやってきたかわかりますか?
ここからが、今後、電通以外の代理店の生き残る道だと思います。
クライアントは、決して安ければ良い買い物をしたとは思っていません。
メディアバイイングは、代理店の利益に直結します。
マーケティングやクリエイティブ、プロモーションなどは、思ったほどの利益を確保するのは難しく、それに、メディア扱いがついてくるからペイできるのです。
また、ペイできれば、優秀なスタッフをつけることができます。
しかし、利益が出ないクライアントには、優秀なスタッフはつけられません。
クライアントは、それを知っています。
だからこそ、安いからといって簡単にはセントラルバイイングにはしてきませんでした。
ただ、ここまで経済が冷え切ってしまうと、背に腹は代えられないことと、利益が上がらなくても戦略クライアントには優秀なスタッフをつけざるを得なくなります。
そして、結局、買い手の優位になり、電通も優位に立つことになります。
さて、では、こういう時に、電通以外は勝つことができないのでしょうか?
ここがポイントです。
できますよ!
広告代理店は、クライアントのブランディングを得意としている割に、自社のブランディグは苦手です。「紺屋の白袴」ですね。
クライアントは、リトル電・博はいらないのです。
個性豊かな代理店なら2社入る意味があります。
しかし、似通った得意分野の代理店を2~3社入れる意味はないのです。
私が今、電通以外の代理店に伝えたいのは、電通さんはこれからも信頼は一段と増えていきます。
だからこそ、電通さん以上の信頼をどうやっていただけるかを考えるのです。
私たちの時代は、テレビ・新聞・雑誌・ラジオなどの発注があると、まずはお礼に伺いました。
同じように、メディアはほとんど全局・全紙などが私たちにお礼に来ます。
今は、合理的に発注書がメールで送られてきて、電話でのやり取りでほとんど終わっています。
その他の作業も、机の上で済むことはほとんど済ませていますね?
それでは、クライアントとの「キズナ」は作れません。
あなたに発注したい!という気持ちは起きません。
私たちは、いつもクライアントとの時間をどのように共有するかを考えていました。
一緒にいれば、悩みも聞ける。
だから相談をされるのです。
マーケティング・クリエイティブも一緒です。
ただ、お客さんを食事に誘うだけではそんなものは醸成できません。
お客様が価値あると思い、時間を作ってくれてこそ、一歩抜きんでることができるのです。
そういう価値ある情報を持っていることが必要で、それを伝える機会を作ることが重要です。
これからは、「人間力」が勝負です。
この人間力がない限りは、安くて安心の電通さんに勝てる道はありません。
ネットが普及して、コミュニケーションの構造が変わったので、代理店はこの組織をどうするかなどに翻弄されていますが、違いますよ、問題は原点にあるのです。
この基礎ができなければ、どんな組織を作っても、機能は全くしませんよ。
わかりますかね。
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コメント (2)
現状のメディアバイイングは、ご指摘のとうりに成ると、私でも理解しています。しかしこのビジネスモデルその物が、崩壊に向かう時期に、新たなビジネスモデル提案も、必要ではないでしょうか。これもやぱりDさんだけですか?最低3~4年後には、顕在化すると考えてますが・・どうでしょうか?
投稿者:近藤潔 | 2010年09月02日 19:01
日時:2010年09月02日 19:01
ちょっと誤解された面があって、メディアバイイングだけが際立って受け取られていますが、電通さんはご指摘の通り新たなビジネスモデルへの取り組みも早いですよね?
それに比べて、他社はどうでしょう。
また、なんだかんだ言っても「商社電通」はお金になる売り物をしっかり見つけてきますよ。
環境が悪くなればなるほど、本来の力のあるものが勝つ。
全英やマスターズなどのゴルフもそうですよね?
だからこそ、2番手以降はクライアントの心をしっかりつかむ必要があると考えているのです。
投稿者:望野 | 2010年09月02日 19:07
日時:2010年09月02日 19:07