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R25の記事によると、東京キー局の2008年4~6月の営業利益は、各局とも軒並み大幅減益で、日テレ60%減益、TBS約50%、テレビ東京に至っては、約70%もの減益となっています。
各局とも、役員賞与のカットや局社内の照明が暗くなり、不要の電気は使わないだとか、コピーを裏表印刷するように指示されたなどという話があちこちから聞こえてきます。笑えない話が、TBSのエレベーターは薄暗くて怖いなどという末期的な話しもあります。
どうしてこのような結果になってしまったのでしょうか?
テレビ局の主な収入源は、番組提供広告費とスポット広告費で構成されています。
しかし、このCM枠を売る「枠」自体は一定の量しかありません。
CM枠は、放送法で、放送分数の1割と決められているからです。
ゴールデンタイムの人気枠でご説明をするとわかりやすいのですが、CX(フジテレビ)の月曜9時ドラマは、皆さんご存知の「月9」と言われていますね。
これが54分番組なので、この中に1割の6分の番組提供枠を作ることが出来ます。そして、60分の残った6分に5分枠を作って、5分枠は1分のCMを入れられるという放送法の裏をかいたミニ番組が出来ています。
昔は、すべて60分番組だったのですが、バブル期の80年代に、どこの会社もCMを買いたくても、空き枠がなかったため、苦肉の策として本編を6分カットし、5分番組を作ることによって、本来6分のCM枠を7分にすることに成功したのです。
この月9のスポンサーは、サントリーや資生堂などの有名な会社が提供テロップと同時に6社読み上げられます。この6社がしっかりと提供ブランドの名前を読み上げられた場合、60秒提供社ということになり、6分がしっかり売れているかを確認することが出来ます。
時々、「水と共に生きる サントリー」の提供でお送りしました。とキャッチフレーズまで読まれる番組を目にしたことがありますよね?その場合は、そのスポンサーが、その番組に90秒以上の枠を買っていることになります。
逆に、「ご覧のスポンサーの・・・」とまとめて読まれる場合がありますが、それは30秒提供社ということになります。
これで、今日から皆さんは、テレビ番組を見ていて、その番組が全部枠が売れているかどうかを確認することが出来ますね。
数社しかついていなくて、どう数えても6分に至らない時は、2つの可能性があります。
1.売れていないので、売れた枠だけ提供テロップを出して、残りはスポットとして売るようにバラしている。
2.提供スポンサーが、提供クレジットを出すのを嫌って、あえて出していない。
2の場合は、その番組の視聴者にはCMを見てもらいたいのだけれど、提供をしていると思われると不都合が出てくる場合に考えられます。
以前、ビートたけしが講談社を襲撃した時、右翼はたけしの出ている番組に提供しているスポンサーの社長宅に街宣車を出動させて大騒ぎになったことがあります。
逮捕者を出すような番組に提供するのは何事だ!という理屈でした。
こんな時は、スポンサーは、提供クレジットをはずすように代理店に依頼してきます。
番組提供は、どんな人が見ているか、どれくらいの人が見ているかによって、スポンサーがその人たちにあった商品のCMを流します。
しかし、視聴率が下がってくると、一定の提供料金のため、おりてしまいます。
ですから、視聴率を上げなければなりません。
では、その料金は、どのように構成されているかといいますと、3つの項目に分けられます。
1.電波料(いわゆる局員の給料から、局舎の家賃などを払うための営業利益にあたるもの)
2.制作費(スタジオ代・タレント費・カメラの減価償却費など、制作にかかるお金)
3.ネット費(全国のテレビ局に回線を通じて番組を送り出すお金)【これはNTTにそのまま払います】
以上3つの料金を番組提供費として払います。
ちなみに通常のゴールデン番組の60秒提供は、月額(4.3回放送)で2000万円から4000万円くらいになります。
これは、番組の視聴率によっても大きく変化し、買いたい人がいなければどんどん安くなるので、300万円でも提供できることもあります。(テレビ東京ぐらいですけどね。)
また、番組提供ともうひとつの収入源であるテレビスポットは、番組と番組の間に流れる15秒のCMのことを指します。
番組提供は、あくまでもCM放送枠は30秒です。
従いまして、ソフトバンクなどのドラマ仕立てのCMは、番組で30秒を流し、スポットで15秒を流すようなことをします。
そうすることによって、15秒でも30秒の残像があり、効果は倍増します。
また、ビール会社のように、一番搾りとのどごしを15秒づつ重ねて放送する会社もあります。
業界のルールで、同業者のCMは直後に放送をしないという規定があるので、ビールが2本続く時は、同じ会社が番組の中で放送しているものです。
スポットも同様に、視聴率が重要になってきます。
通常は、番組終了時に流れるものとして、その番組の終了時点の視聴率の前4週間平均をとって目安にします。
わかりやすく言うと、月9が終了して、スマスマが始まる前に流れるスポットは、月9の終了時の視聴率の前4週平均で15%だとすると、そのスポットは15%のところに流したということになるのです。
そして、スポットの料金は、一般的には1%の視聴率をいくらで買うかという交渉になります。
これは、テレビ局によってもスポンサーによってもまったく値段は違います。
そもそも、ゴールデンタイムをいらないというお客さんはとても安く替えます。
ハウスさんなどが良く使っている方法で、昼間に主婦に見せればいいような商品はそういう買い方になります。
また、新規のスポンサーは、入る時期によって大体値段が決まっています。
レギュラーのスポンサーは、毎年3月末までに4月以降の料金交渉を行ないます。
バブルの頃は、買いたいスポンサーが多くなって、毎年料金が上がっていました。
その頃のテレビ局の言い分は、「取れる作物が一緒の量なら、買いたい人がたくさんいる場合、値段は上がるものでしょう。」というものでした。
ということは、今はとても安くなっているのでしょうね。
そんな仕組みで成り立っているので、そもそも提供スポンサーが減ってくれば収益が減ってしまい、その結果、制作費にはお金をかけられなくなり、タレントも2流やガヤの芸人でしのぐような番組が多くなっていきます。
すると、当然ながら、面白くないので見なくなり、視聴率は落ちてしまって、みんなはネットでゲームをやったりするようになります。
また、視聴率が下がっているわけですから、月9の終了時に15%だった視聴率のスポットは、仮に1%を10万円だとすると、150万円テレビ局に入っていたものが、10%になると100万円しか入ってこなくなります。
これは、悪循環ですね。
テレビ局は、早く手を打たないと、とんでもないことになります。
若者のテレビ離れはとても顕著なので、若者にコミュニケーションをする方法は、とても難しくなってきました。
通常のネット広告もうまく行かない中、今後はどのような方向に進めばいいのでしょうか?
しかし、私は信じていることがあります。
Yahoo!以外のネットメディアがいくら頑張っても、サイトへの誘致は4メディアにはかないません。
ただ、その4メディアのクリエイターが、クリエイティブを勉強していないのです。
今までのように、商品の特徴を伝えるだけのCMでは、人をネットに連れてくることは出来ません。
これからのCMは、いかに15秒で興味を抱かせ、「ネットで検索しなきゃ!!」と思わせる、ティザー広告の手法が必要です。
今年のカンヌの広告祭も、結果的にはテレビや他媒体とネットがシンクロした作品が高評価を得ています。
この業界には、私が経験したような、新商品開発からマーケティングプラン、クリエイティブプラン、メディアプラン、プロモーションプランなどを一貫してプレゼンする能力のあるAE(アカウントエグゼクティブ)が育たない環境があります。
それは、ひとつのクライアントが、テレビはこの代理店、雑誌はここ、クリエイティブはここなどと、1業種1社制を引いてこなかった歴史がそうさせています。
私は、ここ数年ずっと言い続けてきていますが、ネットだけで解決できるコミュニケーションは、ナショナルクライアントにはありえないと思っています。
これからは、すべてのメディアとネットとプロモーションが、きれいに融合した「シンクロ・コミュニケーション」の時代だと思います。
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コメント (4)
なるほど >^_^<
良く分かりました。
投稿者:もみじ饅頭 | 2008年11月01日 00:05
日時:2008年11月01日 00:05
R25の記事へのリンクが mailto になってますよ。
投稿者:tomotaka | 2008年11月03日 14:32
日時:2008年11月03日 14:32
かきかたがよくわからないです
日テレ60%減益とは
0.6倍になったっていうこと
あるいは
60%分がマイナス、つまり0.4倍になったということ
どちら?
投稿者:tomy | 2008年11月06日 07:28
日時:2008年11月06日 07:28
tomotaka様
tomy様
ご投稿ありがとうございました。
大変失礼を致しました。
R25の記事へのリンクを修正しました。
こちらをご覧いただければ、ご理解をいただけると思います。
今後とも、ご愛読をよろしくお願い申し上げます。
投稿者:望野 | 2008年11月06日 10:09
日時:2008年11月06日 10:09