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インターネット広告は、ターゲットをセグメントできます。だから、効率良くターゲットに向かってコミュニケーションが出来て、ROI(投資効果)もしっかり図ることが出来ます。
これはこれで、今までの広告投下の概念を変えてしまうほど、素晴らしいポテンシャルだといえると思います。
ただ、最近とても気になっていることがあります。
ターゲットに向かって、コミュニケーションするだけで、人は物を買うのでしょうか?
私のつたないアドマン人生の中でも、これはとても心に引っかかっています。
商品は、情緒価値と機能価値が認識されて、ブランド認識を形成しています。
たとえば、シャネルの香水をつける女性は、男性から「いい香りがするね!」と言われて、「シャネルの5番よ。」と応えたとすると、男性がシャネルを知らないと、何も意味のないことです。
知っているからこそ、女性は高くても買うのです。
これが情緒価値です。
ベンツを買った時、「私もいよいよベンツに乗れる身分になれたんだ。」という情緒価値を満たしたとしても、「ベンツってどんな車??」と愛している女性に言われてしまったら・・・。
また、ドモホルンリンクルは30代から化粧品」ということは、男性も良く知っています。
「初めての方にはお売りいたしません。まずはサンプルを・・」とか、とても自信溢れるコピーが頭の中をめぐります。
その結果、ドモホルンリンクルという化粧品は、しっかりしたコンセプトの化粧品であり、それを作っている再春館製薬の企業イメージはとても高くなります。
周りを取り巻くステークホルダーにとっても、とても良いブランドの状態と言えるでしょう。
強いブランド=継続して買い続けたいと思う商品やサービス
には、情緒価値を補強するためにも、ターゲット本人だけではなく周りの人達にもブランド認識を形成させる必要があります。
ターゲットだけをセグメントして投下するインターネット広告にこの役割を担うことは出来るのでしょうか?
答えは「NO」です。
80年代後半から90年代前半にかけて、「商品を売るなら28歳女性にコミュニケーションをしろ」と言われた時代があります。
当時の28歳くらいの女性は、バブル時代でもあり、可処分所得が多く、また、「男女雇用機会均等法」が施行された当時なので、会社内でも期待が大きく、社会の中でその言動がとても注目されていた時代でした。
車でいえば、彼女たちが「かっこいい」という車にオトコは群がり、彼女たちを意識しながらファッションなどにも気を使っていた時代です。
余談ですが、そんな彼女たちは今は45歳前後でしょうか。独身がとても多い世代です。(笑
テレビCMは、1%の視聴率をいくらで買うかという契約になります。
朝の時間や夕方、23時以降などの1%の視聴率と、ゴールデンタイムの視聴率も同じ1%とみなされます。しかし、効果は明らかに違います。
ゴールデンタイム(Aタイム)の1%の世帯視聴率は、約2名の人が見てます。
その他はおおむね1.2人程度です。
だから、クライアントは広告投下をする時に、ゴールデンタイムがたくさん入っているようにと要望をします。
そこで、Aタイム含有率という指標があり、ゴールデンタイムの割合が絡んできます。もちろん、高いほうがいいのです。
こういうコミュニケーションは、リアルターゲットだけが見ているわけではありません。
車でも化粧品でも、男性も女性も、お年寄りも若者も、一緒に見ているのです。
だから、「あの車良いと思わない?」と奥さんに聞いた時、裏の決定者である奥さんが「これなら使いやすそうね!」というような会話が成り立って、購入に至ります。
場合によっては、「君もたまには藤原紀香のようにあの化粧品を使ってきれいになれよ。」といいながら、お小遣いを渡す旦那がいるかもしれません。
インターネット広告のいいところはたくさんあるのですが、そういう「うねり」を起こすコミュニケーションはとても苦手です。自分に関係ない情報は真っ先に飛ばしてしまうというのがネットユーザーの特徴なのです。
比較的みんなに見られるであろうインターネット広告は、Yahooのトップページの広告枠でしょう。
今年からとても大きくなって、Yahooさんは効果は上がったと言っていますが、ブラウザー設定にしている私でも、広告を意識するのは2~3日に一回くらいです。
今日も、何の広告が表示されていたかと聞かれたら、何も覚えていないので、効果はとても疑問に思っています。
リスティング広告は、まさにターゲットのみの広告です。
ホテルを探している時や、目指している情報を探す時にはとても有効ですが、これで一般商品を売ろうとするには無理があります。
インターネット広告は魔法使いではありません。
特徴をしっかり理解し、目的にあった使い方をしないと、インターネット広告の本来の効果を見失う結果になってしまうと思います。
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