自民党の圧勝に終わった今回の衆議院選。
選挙戦の最中から、小泉首相の主張だけが際立った選挙のように感じていた。
大敗を記した民主党岡田代表は「我々の思いを国民に伝えられなかった。」と敗因を分析した。
その通り!
明らかにコミュニケーションの戦略・戦術の失敗だった。
今回の衆議院選は、何のために行われたのか?
郵政民営化法案の否決を受けた、いわば国民投票であったはずだ。
ところが、その対抗勢力である民主党は、「少子化」「年金問題」などと、話題をすり替えている。
まず国民が聞きたいのは、郵政民営化になぜ反対しているかということだ。
「他にやるべきことがある?」
優先順位を確認する選挙ではないはず。小泉首相は、改革の中核に位置づけた郵政民営化を国会で否定されたことに対して国民に判断を委ねたのだ。
この選挙に乗じて、相手の粗を探して政権交代を目指すより、郵政民営化の本当の狙いである国家債務の軽減をどう行うのかを議論すべきではなかったか。
民主党なら、郵政民営化をしなくても、こういう方法で借金を減らすことができる!と国民に説明してくれればいいだけの話だ。
まあ、プレゼンテーションの失敗は、要因はいろいろあるけれど、筋道の違ったプレゼンは、失笑を買うだけだ。
それに比べて、小泉首相のコミュニケーションは、素晴らしかった。
彼は、たった一つの言葉しか使っていない。
「郵政民営化による改革路線の推進」である。
この言葉を国民はどう理解したのだろうか。
多くの人たちは、郵政民営化法案の内容を理解しているわけではなく、各論はわからないはず。
しかし、小泉首相が「何かを変えようと孤軍奮闘している」事実を嗅ぎ取ったはずだ。
これが、今回の選挙の特徴である「なだれ現象」につながってゆく。
実際には、郵政民営化が良い事なのか、好ましくないことなのかという判断よりも、改革路線を継承するかどうかの判断によって「自民党」に投票してしまったというのが本当のところだろう。
広告コミュニケーションに携わる人たちは、この選挙結果を大いに参考にし、学ぶべきだと思う。
いろいろな競合商品が乱立し、いろいろな広告が節操なく放出される中、他との違いを明確に打ち出し、たった一つの一貫した主張をし続けることが、強いコミュニケーションを作り出し、自分たちの予想もしないイメージの拡大につながってゆくということだ。
私たちコミュニケーションを職業としている人間にとって、小泉首相の「人に伝えること」の技術の高さを改めて感じさせられた事件だった。
2005年09月13日 09:13
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